お車にこだわりがあるお施主様への間取り提案です。床面積は約38坪。
部屋の中からも車が見えるようなプランで、近隣からの視界を遮るご要望でしたので、コートヤードをつくるとともに外部空間が緩やかにつながる爽やかなLDKを計画しました。
敷地入り口から外部駐車スペースを抜け、ガレージ脇の通路に入ります。
通路上部の屋根はガラス(下画像青枠)になっており 、柔らかな光の射し込む小径となっています。ガレージはグリルシャッターを付ける想定にしており完全に光を遮る空間ではないですが、ガラス屋根は、LDKから見た時にもガレージを覗く大きな窓に自然光が射す景色をつくるという役目も担います。
ガレージ脇の通路からは家人が普段使うパントリーや脱衣につながる手洗い付きのサブエントランスと、来客時や日常の気軽な出入りに使うメインエントランスに続きます。
メインエントランスからはそのまま土間が伸び、突き当たりは床から天井までのガラスとなっています。エントランスからガラスの向こうに豊かな植栽やシンボルツリー景色が見える土間空間を計画しています。
この部分(下画像オレンジ枠)は平屋となっており、アプローチに向けて緩く傾斜させた屋根なりの天井とすることで視線をガラスの向こうに誘い、空間の奥行き・抜け感を効果的に演出します。
この土間は、屋根はガラスではないですが、豊かな植栽の景色を取り込むサンルームのようなイメージの、ちょっとお茶をしたり、本を読んだりしたくなる居心地のいいサロンやダイニングとしても使える空間となるような計画としました。名付けて土間ヌック(笑)
LDK部分は吹き抜けとし、2階の廊下はキャットウォークのように張り出させる(下画像赤枠)ことで、2階では個室と1階のLD Kの気配を緩やかに繋げ、1階では軒下のような空間をつくることで水廻りなどのバックヤード(プライベート)空間とパブリックなLDK空間との間にワンクッション置くような緩衝帯となる空間をつくっています。
欧米風に玄関という場を曖昧にしLDKにつなげ、そのLDKは窓やキャットウォークで抜けを取り、隣接する空間とつながり伸びやかな場所となっています。雑然としがちな玄関をバックヤードに持っていくことで個性的な内部空間へお客様の印象を直接誘導することができます。
土間空間もそうですが、平面的につながっている場所も、天井高さを変えることで、体感的に別の空間と意識を誘導することができます。
少し大きめのUBもせっかくなので坪庭をつく離、近隣からの視線に配慮した上で広がりのある空間で入浴時間を楽しめるような計画にしました。
サブエントランスには帰宅時及び車いじりの後にも使えるよう手洗を設け、パントリーからキッチンへ、また脱衣・ドライルームへ抜けられるように計画しています。
パントリーからサブエントランスへ出る引き戸を開けて靴を脱ぎ履きするイメージです。
サブエントランスは程よい大きさだと思っていますが、パントリーからの出口がやっぱりちょっと気になりますね。右側の小さな収納をカウンターにするだけでも圧迫感は和らぐはずです。
靴はサブエントランスの奥に十分な収納があるので、日常使う靴だけ数足を手洗カウンターの下に収納し、その収納を浮かせることで脱ぎっぱなしにされる靴を仕舞い込無という想定です。
キッチン、パントリー、脱衣・ドライルームは家事動線として回遊できるようにしています。その動線沿いに洗面やファミリークローゼット、トイレを配置しています。
トイレの入り口は、出入りの時にLDKから直接見えない位置にと計画し、洗面所もLDKからの視線に配慮し少し奥になるよう壁を計画しています。
ファミリークローゼットから主寝室に廊下を通らずに行けるのもポイントです。
また、外干しの際もドライルームから物干しスペースまで直線で動線を確保するとともに、リビングからの景色に配慮した位置に物干しスペースを計画しています。
久しぶりに見直したこの間取りを自分でチェック&修正してみる。
現状は左下の画像。引き戸を開けると吹き抜けになっているLDKが見える。土間の方が天井高さが低いのでLDKの高さが途中までしかわからないことで、全貌が見えないその先の空間の広がりをイメージすることで開放感が増す。
けれど、引き戸を開けた時に直接内部が見えてしまうことと、外の空気が直接室内に入ってきてしまうのがデメリット。
右下のように引き戸の位置をずらし、引き方向を変えることでそのデメリットを解消し、カウンター収納を1.2mくらいの目隠し程度の高さにして、廻り込んだ時に視界に入るシンボルツリーなどの植栽、そこから吹き抜けのLDKへという視線の動きと見える空間の変化を印象的に誘導する方が良さそうだ。
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